「家に食材はあるのに、何を作っていいかわからない」「レシピを見ないと料理ができない」そんなふうに感じたことはありませんか?
実は、「あるものでパッと作れる人」に特別なセンスがあるわけではありません。元家政婦の筆者も、気づいたら自然とそうなっていました。そのコツは、考え方と味のパターン、そして買い物の仕方にあります。
「何を作ろう?」ではなく「何がある?」から考える

多くの人は「今夜は○○を作ろう」と、メニュー名から考える傾向があります。でも、あるもので料理ができる人は逆。材料から逆算して考えます。
たとえば、
- 豚肉がある → 炒め物にしようかな
- じゃがいもと人参がある → 煮物かスープにしよう
- 卵がある → 何かに足してボリュームを出す
このように、「食べられる組み合わせ」と「加熱方法」で考えるのがコツ。冷蔵庫を「食材の在庫置き場」ではなく「使える材料のある場所」として見ると、料理の発想が自然に広がります。
メニューから考えると「材料が足りない」ことばかりに目がいきますが、材料から考えれば「これで十分」が見えてきます。
「足りない」ではなく「ある」に目を向けることが、料理上手への第一歩ですよ。
味付けは「鉄板の型」を持っておく
料理でいちばん迷うのは味付け。ここが安定すれば、ほとんどの料理はおいしくなります。
最初は、めんつゆや焼き肉のタレなどの市販調味料に頼ってOK。味が決まれば失敗が減り、「自分でもできた!」という自信になります。
慣れてきたら、自分の中に「鉄板の味」を持っておくと便利です。
🍯筆者のおすすめ「はちみつ+調味料」の黄金比
以前、料理研究家・奥園寿子さんが紹介していたはちみつと醤油、はちみつと味噌を同量で混ぜるという方法を見て、目からウロコでした。
- はちみつ+醤油:鶏の照り焼きや豚の生姜焼きに。
- はちみつ+味噌:豚肉とキャベツの味噌炒め、なすや厚揚げにも◎
- はちみつ+味噌+豆板醤:ピリ辛みそ炒めに。赤味噌を使うとコクが出ます。
分量は2人分で、だいたい大さじ1ずつ。炒めた材料に最後に加えるだけで、甘辛くて子どもにも人気の味になります。
味付けが決まらないときは、「とりあえずこの組み合わせ」でOK。悩む時間が減ると、料理が一気にラクになりますよ。
「いつもの料理」を材料違いで作る

料理が得意な人は、新しいレシピを増やしているわけではありません。
いつもの料理の材料を変えているだけです。
たとえば、肉じゃがのじゃがいもを――
- 里芋に変える
- れんこんに変える
- こんにゃくを足してボリュームアップ
味付けは同じでも、食材を変えるだけで新鮮な一品になります。慣れてきたら、炒めものの野菜を日替わりで変えるだけでもOK。
「この味付けでこの素材もいけるかな?」という感覚が身につくと、料理の幅が自然に広がります。
「題名のない料理」でいい

「これは何料理?」「名前がつかないと不安」という声をよく聞きます。でも、料理は名前をつけるために作るものではありません。
「あるもので作る」というのは、題名のない料理を楽しむことでもあるのです。
たとえば、
- 「豚肉ともやしとにんじんを炒めて、焼き肉のタレで味付けしたもの」
- 「冷蔵庫の残り野菜と卵を炒めて、中華だしで整えたもの」
これらには名前がなくても立派な料理。食べる人が「おいしい」と感じれば、それが正解です。名前がないからこそ、自由に作っていい。それが、「あるもので料理する力」を育てるいちばんの近道です。
「買い方」を変えると料理が変わる
「あるもので作る力」は、実は買い物の段階から始まっています。あるもので料理できる人は、スーパーでも「何を作ろう」ではなく、「何にでも使える食材」を選んでいます。
たとえば、
- 肉なら豚こま・鶏むね・ひき肉など汎用性の高いものを常備
- 野菜ならキャベツ・もやし・にんじん・きのこ類をローテーション
「特定のメニューにしか使えない食材」を減らし、「どんな料理にも使える素材」を選ぶことがポイントです。結果的に、冷蔵庫が整い、買いすぎ・使い残しも減ります。
買い物の時点で「あるもので回せる冷蔵庫」をつくっておくと、日々のごはんづくりが格段にラクになります。
5. まとめ:料理は「買い物と味付けの仕組み化」
料理が得意な人は、センスよりも仕組みを持っています。買い物で「何にでも使える食材」を選び、
家では「材料から考えて」「味付けを型で決める」。この2つの流れが整うだけで、「あるものでパッと作れる人」に近づきます。
そして、名前がなくても立派な料理。「あるもので作る」は、忙しい毎日の中でできる最高の家事スキルです。完璧よりも、自由に・おいしく・気楽に。「題名のない料理」を楽しんでいきましょう。


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