家電売り場に行くと、「全自動」「おまかせ」「AI搭載」といった魅力的な言葉が並んでいます。ボタンひとつで暮らしの面倒を引き受けてくれる最新家電は、本当に頼もしく、忙しい現代人の強い味方です。
けれど最近、わが家の家電選びにはちょっとした変化が起きています。
新しく買い替えた冷蔵庫は、あえて「自動製氷機能なし」を選びました。エアコンも、以前使っていた「フィルターお掃除機能つき」から、シンプルな「お掃除機能なし」に戻しました。洗濯機も、洗剤の「自動投入なし」のモデルを使い続けています。
決して、最新の便利な機能を否定したいわけではありません。むしろ最初は、「便利そう!」「これで面倒から解放される!」と人一倍ワクワクして手に入れたものばかりでした。
それなのに、なぜあえて「機能がないもの」へと戻っていったのか。 理由はとてもシンプルです。「日々のひと手間を減らすための自動機能が、結果として『別のお手入れタスク』を増やしていた」ことに気づいたからでした。
エアコン:「次は絶対にお掃除機能つき!」と買った私が、なしに戻した理由

実は数年前まで、わが家でも「フィルターお掃除機能つき」のエアコンを使っていました。
それ以前のエアコンを使っていた頃は、「高いところに手を伸ばしてフィルターを外すのが面倒」「定期的にお風呂場で洗って乾かすのが億劫」とずっと思っていて、買い替えのときには迷わず「次は絶対に自動お掃除機能つきにするぞ!」と決めて購入したのです。
手に入れた当初は、「これで面倒な手入れから一生解放される!」と本当に感動しました。
けれど、暮らしの中で何年か使っていくうちに、いくつかの小さな「引っかかり」が生まれました。
- 「自動」でも、ダストボックスの掃除は必要 :お掃除機能が集めたホコリは、本体内部のダストボックスにたまります。結局のところ、定期的にダストボックスを取り外してゴミを捨て、水洗いする手間は残っていました。
- お手入れのタイミングが分かりにくい :フィルター掃除なら「月2回、気になったときにサッと洗う」という自分のリズムで作れましたが、自動機能がついていると「いつダストボックスを掃除すればいいのか」を忘れがちになります。いざ掃除しようとすると、取扱説明書を引っ張り出してきて分解方法を確認しなければならず、それが地味な負担になりました。
- プロの業者クリーニング費用がぐんと高くなる :数年に一度、専門業者に内部の完全分解洗浄を頼もうとしたとき、大きな現実を知りました。お掃除機能つきのエアコンは内部の配線や構造が非常に複雑なため、通常のエアコンに比べて作業代金が数千円〜1万円近く割高になることが多いのです。

次の買い替えのタイミングで、私は思い切って「お掃除機能なし」のスタンダードなモデルを選びました。
構造がシンプルなので、月に1回、自分でパネルをパカッと開けてフィルターを掃除機で吸うか、お風呂場でサッとシャワーで流すだけ。取扱説明書を開く必要もありません。 「日々の小さな手入れを自分でやる」ほうが、私にとっては圧倒的に気がラクだったのです。
冷蔵庫:見えない場所への不安を手放した「自動製氷なし」

最近買い替えた冷蔵庫で、あえて外したのが「自動製氷機能」でした。
給水タンクに水を入れておくだけで、いつでもきれいな氷がガラガラと落ちてくる自動製氷は、本当に画期的な機能です。わが家でも長年使っていました。
しかし、使い続けるうちにどうしても気になっていたのが「衛生管理の手間」でした。
- 内部の給水パイプや製氷皿が見えない タンクから製氷皿へ水を送るパイプは冷蔵庫の奥深くに埋め込まれており、普段は目に見えません。「本当に中まで清潔に保てているだろうか」という小さな不安が、頭の片隅にいつもありました。
- 給水タンクのお手入れをうっかり忘れる ミネラルウォーターや浄水器の水は塩素が含まれていないため雑菌が繁殖しやすく、タンクやフィルターはこまめな丸洗いが推奨されています。でも、日々の忙しさに追われていると、うっかりタンクの底やパッキンにヌメリや黒ずみが出てしまい、ハッとすることがありました。
- 定期的なパイプ洗浄剤の手間 市販の製氷機クリーナー(ピンクや青の液体)を使って洗浄するのも、すすぎの氷を何度も捨てたりと、意外と時間と気を遣います。
新しい冷蔵庫では自動製氷をなくし、昔ながらの製氷皿を使うか、夏場のたくさん使う時期だけ市販のロックアイスを買うスタイルに切り替えました。
製氷皿なら、使うたびに食器と同じようにスポンジと洗剤でキュッキュと丸洗いできます。 「見えない場所の汚れを心配しなくていい」「タンクの掃除に追われない」という解放感は、思っていた以上に心地よいものでした。
3. 洗濯機:日々の計量と「定期的なタンク洗浄」の天秤

洗濯機で主流になりつつある「洗剤・柔軟剤の自動投入」も、とても便利な機能です。 洗剤のボトルを毎回持ち上げてキャップで計る手間がなくなり、ボタンひとつでスタートできる快適さは間違いなく魅力的です。
ただ、この機能にもやはり「定期的なメンテナンス」がついて回ります。
- タンクと経路の定期的なお手入れが必要 洗剤や柔軟剤は粘度があるため、放置すると投入口やチューブの中で成分が固まり、目詰まりを起こすことがあります。数ヶ月に一度はタンクを外してぬるま湯で洗ったり、クエン酸水を使って洗浄運転をしたりといったケアが必要です。
- 洗剤の銘柄を変えるときの手間 いつもと違う洗剤や柔軟剤に替えたいときは、一度タンクを空にして綺麗に洗い、本体や専用アプリで「基準量(水30Lに対する使用量)」を設定し直す必要があります。
私自身は、毎回の洗濯でキャップを使って「適量をサッと計って入れる」動作自体は、数秒で終わるためそれほど苦になりません。 それよりも、「定期的にタンクを分解して洗うタスク」を管理するほうが面倒に感じてしまうため、わが家ではあえて自動投入なしのシンプルな使い方を続けています。
おわりに:どちらが正解ではなく、「どちらの手間が自分にとって軽いか」
ここまでお話ししてきた通り、私は家電の自動機能をいくつか手放してきました。
でも、誤解しないでいただきたいのは、「自動機能がついている家電がダメ」「ない方が絶対にいい」と言いたいわけではありません。
仕事や育児で毎日分刻みのスケジュールで動いている方にとって、
- 「ボタンひとつで氷ができていること」
- 「洗剤を計る数秒すらショートカットできること」
- 「エアコンのフィルター掃除を機械におまかせできること」 は、日々の暮らしを回すためのかけがえのない救いになります。技術の進化が生み出した素晴らしい恩恵です。
大切なのは、「便利そうだから」と機能の有無だけで選ぶのではなく、「その便利さの裏側にあるお手入れと、どう付き合っていくか」を知っておくことなのだと思います。
- 日々のちょっとした手間をゼロにして、たまのメンテナンスを受け入れるか
- たまの複雑なメンテナンスを手放して、日々のシンプルなひと手間を選ぶか
どちらが正解ということはありません。 ただ、家電を新しく迎えるとき、カタログの「便利」の文字の横にそっと添えられている「お手入れの方法」のページを、一度だけ眺めてみてください。
自分の性格や日々の生活リズムにとって、どちらが心地よく続けられるか。 その視点を持って選んだ家電こそが、きっと長く気持ちよく付き合える、わが家のベストパートナーになってくれるはずです。


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